がんは早期発見が大事だが、がん検診の受診率は伸びていない。面倒だったり、内視鏡やバリウム検査の苦痛、さらには負担などがその理由という。
4月16日の「ワールドビジネスサテライト」で、苦痛や負担が大きく軽減される、尿一滴を使ったまったく異なるアプローチによる2種類の新たながん検診方法が紹介された。
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尿の代謝物に着目
日立製作所が開発を進めているのは、尿の中の代謝物に着目して解析する方法。
一滴の尿に含まれるアミノ酸代謝物などを解析し、乳がんや大腸がんなどのほか一部の小児がんも見つけられる可能性が高いという。
今月4月から半年間、大学と共同で実用化に向けた実証実験を行う。
2020年代前半の実用化を目指すという。
スマホアプリを活用
実験にはスマホのアプリを使用。
尿の検体を採取したら、スマホで撮影することで、場所と時間が記録。
さらに実際の尿を専用ボックスに入れて送ると、解析結果がスマホに送られてくるという。
自宅にいながら結果が見られる。
線虫を利用
HIROTSUバイオサイエンスが研究をすすめているのは、線虫という体長1ミリほどの虫を使った検査。
線虫は、がんのにおいが好きで寄っていくことを指標にして、がんかどうかを見分ける。
使用する線虫は、土のなかに生息していて、人間に寄生しない種類。
線虫は、においを感じるセンサーになる器官を、人の3~4倍多く持っていて、においを識別する能力が優れている。
健康な人の尿はきらいで逃げていくが、がん患者の尿に対しては集まる習性がある。
どの部位のがんかは特定できないが、がんがあるかないかについて約90%の確率で識別できるという。
臨床例を増やし、2020年の実用化を目指している。
検査費用は、すべて含めても1回数千円ほどに抑えられる。
特定のがんのにおいをかぎ分けるスーパー線虫も
さらに、線虫の体内に遺伝子情報を組み替えたDNAを注入することで、特定のがんのにおいをかぎ分けられるスーパー線虫を生み出す研究も進められている。
現状では早期発見がほぼ不可能なすい臓がんが、第1ターゲット。
線虫はすい臓がんに強く反応するので、すい臓がんを見分けるスーパー線虫ができれば、尿だけですい臓がんを発見できる革命的なことが起こるという。
がん検査を広めるために
コメンテーターのフェルドマンさんが、がん検診を受けた人と受けない人で、実際にがん治療をした場合の自己負担額に差をつけるとがん検診の受診率も上がると言っていたが、これすごいいい案に思う。
大腸の内視鏡検査とかって、痛いし、2日ぐらい前から準備しなければならないし、ポリープを切除しても入院していないので保険が効かなかったりもするので、尿に限らず簡単な検査が早く実用化されるといいな。